常に一直心(いちじきしん)を行ず

常に一直心(いちじきしん)を行ず

「六祖壇経」という禅の語録の中に出てくる言葉です。

簡単に言えば、
常にまっすぐな心で何事にもあたりなさい、という意味でしょう。

最初に聞いたときは、
良い言葉だなぁと思った反面、
人生そんなんに簡単にはいかないこともあるよな、と思っていました。
まぁ、お人好しの頭悪い人の慰めみたいなモットーだよねと。

でも、最近思うのですが、
ただ愚直に真っ直ぐな心で物事を見た時に、
荒れ狂う様な波間の中に一瞬きらりと光が見えるが如く、
物事の本質とうのが見える時があると感じています。

これで思い出すのは、
私は剣道をやっていたのですが剣道の教えは愚直そのものです。
「まっすぐ」「大きく」「遠い間合いから」面を打てと。
これを守って試合に出ると負けてしまう様な気がします。
フェイントしたり、相手を騙しながら、小さくコンパクトな面を打った方が強い気がします。
けれどもそんなことをやると怒られます。
試合に勝っても怒られます。
逆にまっすぐな剣道をすると負けたとしても褒めてくれる指導者もいます。
教育的な意味なのかなと思っていましたが、
本当にまっすぐな面を騙された様に打ち続けていると、
だんだんと真っ直ぐな面で一本が取れる様になってくるのです。
不思議です。
ちょうど、こっちは真っ直ぐな心で相手と向き合った時に、
相手の方が小賢しい技で勝とうとすると、
その小賢しさそのものが隙となって大抵相手は中心がずれます。
竹刀を左右にふったりするからです。
そうしたらこっちは真っ直ぐ打ち込めば当たります。
真っ直ぐが一番強い、そういうことが少しわかってきました。

これは剣道だけに限らず、
人生の諸問題も堂々とこちらがまっすぐな心で構えていれば本質が見えてくる時があります。
小賢しく目の前の利益にポンと手を出すと、
とんでもない失敗をすることがあります。

まっすぐというのは、
最も強い法方でもあるのです。

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