みくわ(祈願祭)

みくわ(御鍬)祈年祭 三月十日午後七時

 寒さも緩み、本格的な農事の始まる頃、今年も豊作でありますようにと田を耕す真似をして神に祈りを捧げ、一人一人にも悪い事が起こりませんようにと厄払いをします。
「みくわ」には獅子舞をして厄落としをする所もあるようです。
最近「御鍬祭考」という本が出版されましたが、尾張・美濃を中心に述べられており、伊勢神宮の外宮、伊雑宮の信仰からきていて、御師=下級の神職=が木の枝で作った鍬の形を御神体として村々に回したところから始まった六十年に一度の祭と書いてあります。
北伊勢のことにはほとんど触れられておらず、智積・菰野その他の地名が挙げられていて木の鍬を作ると述べられているだけです。
昔から人々は豊作を願い、無病息災を祈って、その実現の為に仕事に励み、健康に気を付けてきました。昔の人が経験的に気を付けた方がよいと感じてきた人生の節目・曲がり角が厄年の前後だと思います。いつか新聞に東海大医学部教授の「体調の変化は女性三十代、男性四十代が顕著である」という言葉が紹介されていました。この頃は特に心を引き締めて万事、慎重に生きたほうがよいと思います。
 インターネットで見た説明文の中に北伊勢地方では御馳走を作りますが「みくわの御馳走をいただくのは嬉しいが、御馳走を作って喜んでもらえるのはもっと嬉しい」という文がありました。そんな満ち足りた気持ちで日々を送ることが災いの無い、健康で幸せな人生のもとでしょう。

平成二十年 配布プリントより