無駄なものを捨てると楽になる。
禅宗の修行の第一は掃除です。
禅の修行だから座禅をずっとしていればそれで良い気がしますが、
掃除も修行の重要なスペースを占めています。
掃除をする時は掃除三昧、
料理をする時は料理三昧で、
そこには無心の修行が展開しているのです。
・・・と格好良いことを書いてみましたが、
私は修行を始めた時はとにかく整理整頓ができなくて困りました。
なにせ「座って半畳、寝て一畳」と言われるくらい、
生活スペースがとにかく少ないうえに、
修行中はゆっくり整理整頓している時間もありません。
一度、すぐに食事に行かなければいけないという時に、
お箸がどこかに行ってしまって難儀した記憶があります。
自分に与えられた棚の中にあるのは分かるのですが、
薄暗い中を手探りでお箸を探さなければいけなくて見つからないのです。
なんとか見つけることができましたが、
一事が万事そんな感じでした。
自分の持ち物を整理するのにワンロッカーを与えられましたが、
その中も物で溢れてカオス状態でした。
そんな苦労して修行時代でしたが、
不思議ですが二年目、三年目になると物が減っていきました。
普通なら生活が長くなれば物は増えていくはずです。
でも、必要でないものはやっぱり必要ないんですね。
そうすると自然と整理も短時間でできる様になり、
必要な物もすぐに見つかる様になりました。
そうなると突然の動きにもすぐに対応できる様になってきたのです。
特に三年目くらいの時は新到(一年目)の時の半分以下の持ち物で、
身も心もすっきり楽々だった記憶があります。
まぁ、それでもまだまだでしたが、
物が減るとこんなに楽だったのかと感じた瞬間でした。
無駄なものを捨てると楽になる。
これはもちろん心の中でつかんでいるものを手放すことでもあります。
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